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読んだ本の記録とメモ

荻原規子『RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた』

荻原規子『RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた』メモ

 

P245

(生きているものはすべて、いつか死ぬ。でも、愛しているものが自分より先に死んだら悲しい。それはすべて当たり前のことだ……) 

 

P246

(死なれると悲しいって、どういうことだろう……)
根本的なことを、あらためて考えてみた。悲しいのは、好きだったものの肉体が朽ちて、この世から消え去ってしまい、二度と触れたり交流することができないからだ。

 

 P252

(……二重のものごとに接しながら、表でふつうにふるまえるようになるには、それなりの心の強さが必要なんだ。マイナスの事態が起こっても、他人に気づかせず笑っている精神力がいる)

 

P261

「ひょっとしたら、回復させる方法がまだあったのかもしれない。そうじゃなくても、このまま死ぬだけでも、馬は、おれたちが何をするかは知らず、痛くても苦しくても命の最後まで生きようとしていたんだ。そうさせたほうが、かえってタビが満足したのかもしれない。あんまり苦しむから、もう楽にさせることにした。でも、人間の決断が正しかったかどうかは、永遠にわからないんだ」

 

P320

「おまえたちは、今の自分がどれほど不安定かをわかっていない。しかたがない、そういう年齢なのだ。この世に生まれてきて、生存を勝ち取るときと同じくらいの綱わたりをしているが、そのことに気づかない。子どもではなくなるとき、どのように自分を変えるかは、霊能を持つ者にとってはとりわけ選択の難しい問題だ。ほんの少し出方をまちがえるだけで、そのまま死にも直結する。神に接する能力を、そこでだめにする事例は山のようにある。おまえたちは、まだまだ結果の出ない存在なんだよ」

 

P321

「けれども、こればかりは親であっても詳しく教えられない。何を愛してどう生きるか、そのどこに落とし穴があるかは、それぞれ本人にしか用意されないものだ。人間はわからないものなんだ。人の数だけ試練があるし、その失敗がある。今回、わたしが適当に収めてしまったから、おまえの本当の試練は先延ばしということになるし」