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読んだ本の記録とメモ

有島武郎『惜しみなく愛は奪う』

有島武郎『惜しみなく愛は奪う』メモ 私は私のもの、私のただ一つのもの。私は私自身を何物にも代え難く愛することから始めねばならない。 言葉は意味を表す為めに案じ出された。然しそれは当初の目的から段々に堕落した。心の要求が言葉を創った。然し今は…

大野靖子『少女伝』

大野靖子『少女伝』メモ p16 たとえ母と子であっても波長が合わないかぎりはだめなのだ。それを思い知った瞬間こそ幼い麻子の母離れ、自立への出発だったのかもしれない。 p23 子供は母親の分身というが、自分と瓜二つの長男を失ってしまったのだ。 p35 考え…

安部公房『闖入者』

安部公房『闖入者』メモ 「駄目だ、そんなものじゃ役に立たん。われわれの間では、物的証拠しか通用せんのだ。ね君、こうした事件が、いかにあつかいにくいものであるか、見当がつくだろう。私見をのべさしてもらえば、私は、この種の事件には解決というもの…

小林秀雄『Xへの手紙』

小林秀雄『Xへの手紙』メモ 和やかな眼に出会う機会は実に実に稀れである。和やかな眼だけが恐ろしい、何を見られているかわからぬからだ。和やかな眼だけが美しい、まだ俺には辿りきれない、秘密をもっているからだ。この眼こそ一番張り切った眼なのだ、一…

吉田修一『アンジュと頭獅王』

吉田修一『アンジュと頭獅王』メモ p4 「人の幸せに隔てがあってはならぬ。慈悲の心を失っては人ではないぞ」 p78 人は時、時は人、 権現様のお許し以来、赤線青線に立つのは飯盛女 省線の引き込みに並ぶバラックに散る花は、千代に八千代に千年桜、 吉原・…

今村仁司『近代性の構造』

今村仁司『近代性の構造』メモ ナショナリズムとインターナショナリズムの循環 比較的社会に危機が少ないときにはコスモポリタニズム的な気運が高まり、危機的な状況になるとナショナリズムが強くなる。近代というのは、政治イデオロギーに即して考えれば、…

カール・レーヴィット『日本の読者に与える跋』

『日本の読者に与える跋』 カール・レーヴィット著柴田治三郎 訳 カール・レーヴィット『日本の読者に与える跋』メモ 日本人はみんな愛国者である、どんなに心の寛い、どんなに自由な思想をもった日本人でも、やはり愛国者であるーー そして、ボドレールから…

マルグリット・デュラス『破壊しに、と彼女は言う』

『破壊しに、と彼女は言う』 マルグリット・デュラス田中倫郎 訳 マルグリット・デュラス『破壊しに、と彼女は言う』メモ P36 「ここが居心地がよくって、幸福みたいな気分になってくるんだ」 きっとアニタは十四歳ぐらいだろう。 エリザベート・アリオーヌ…

荻原規子『RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧』

荻原規子『RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧』メモ P125 彼にとっては、泉水子も馬も式神も、まとめて同じように接する相手なのかもしれなかった。人かどうかで区分して垣根を作らないのだ。そのおおらかさに気づくと、今まで怖がっていた自分は心…

荻原規子『RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた』

荻原規子『RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた』メモ P245 (生きているものはすべて、いつか死ぬ。でも、愛しているものが自分より先に死んだら悲しい。それはすべて当たり前のことだ……) P246 (死なれると悲しいって、どういうことだろう……)根…

川原泉『空の食欲魔神』

川原泉『空の食欲魔神』メモ 不思議なマリナー たとえば2匹の焼き魚が あった時加納さんは いつもごく自然に大きい方をわたしにくれるのだ加納さんはそーゆー人なのだ ミソ・スープは哲学する …世界は世界は不透明であると透明な人は言った… アンドロイドは…

フィリップス・アリエス『死と歴史』

フィリップ・アリエス『死と歴史』メモ 気になった箇所の引用 瀕死者は自分の死を奪われてはならなかった。彼はまた自分の死を司らねばならなかった。かつて人は、公に生れるのと同様に、公に死んだ。 主役は瀕死者自身のものだった。彼が司り、失敗は殆どな…